夏の引退をなくす?
愛知工業大学名電高等学校(通称:愛工大名電)の野球部での取り組みを紹介したい。
今年の夏から引退を撤廃
この真意とは何なのか?
【大学などの今後の野球人生で即戦力となる選手を作るため】
新型コロナウイルス感染症の影響もあっただろうが、実際には昨年の秋の段階で検討されていたものだ。愛工大名電野球部監督の倉野光生監督によると下記のような思いから決断に至ったようだ。
大会に向けて冬にまで励む競技がある
冬の大会に向けて練習を継続する競技があることが理由の1つだという。野球は夏に大会は全て終わるが、大学等でプレーを続ける選手を考えると夏に引退して約半年も練習をしないのは問題が起こっていたからとのこと。実際に新たな活躍の場でケガをする選手も増えたという。冬に大会のあるスポーツは下記などのスポーツだ。
- サッカー(選手権)
全国高校サッカー選手権大会(12月末~1月下旬) - ラグビー(花園)
全国高等学校ラグビーフットボール大会(12月下旬~1月上旬) - バレーボール(春高バレー)
全日本バレーボール高等学校選手権大会(1月上旬~中旬) - バスケットボール(ウインターカップ)
全国高等学校バスケットボール選手権大会(12月下旬)
※期間は前回大会(2019~2020年シーズン)のもの
有名なあの人も
愛工大名電野球部の倉野監督はあの選手のことを例に出してこう話した。あの選手とは野球部OBで、プロ野球、アメリカの大リーグでも活躍したイチローさんだ。
高校野球を引退した後も休みなく練習を続けていた。それだけの準備をしていたからプロでも活躍できた。
現在3年生の大石歩夢キャプテンは下記のように話している。
甲子園は頑張るための目標で、頑張ったことが大切。その点、夏以降も実践経験を積めるのは将来に向けてプラスになる。
個人的には、良い例だと思う。私自身は夏の甲子園は好きだ。自信が取り組んでいたこともそうだし、夏の風物詩でもある。ひたむきにプレーする、それを応援する、青春真っただ中というあの雰囲気が大好きだ!
しかし、甲子園・高校野球というものの良い面もあれば悪い面もある。これは、今のようなスポーツ選手を支えるトレーナーやトレーニング指導者として働くようになってから特に感じることだ。どうしても、力が入りすぎてケガをしてしまう。させてしまう。
愛工大名電高校野球部のような取り組みが増えれば、夏の甲子園を目指しつつも、将来を見据えて活動する選手も出てくるきっかけになるだろう。そして、今まではそこで潰れていた選手が、その先で活躍できる機会も大いに増える可能性もある。
このような新たな取り組みは歓迎されるべきだと強く思う。
先日、47都道府県全てで夏の甲子園予選の代替大会の開催が行われることが発表されていた。早くて開幕は福岡県の6月21日から。もう始まっている。遅い所でも8月8日の埼玉県での開催だ。
今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で代替大会もどうなるか、と言われていて日本全国開催できたのことは関係者の尽力があったからだろう。スポーツに関わる者として感謝をしたい。
そして、この愛工大名電のようなその時代にあった取り組みも、今までの固定観念に左右されずにチャレンジしてほしいと感じる。