直面している感染症 ~対策のために~
前回は免疫に関する細胞についてまとめてみた。今回はその抗体に関してまとめてみよう。(シリーズ化しているので 第1弾!から目を通すと専門用語などはわかりやすいです。)
前回では抗原を認識したB細胞が分化して抗体を産み出すという話しがあったのを覚えているだろうか?そのあたりをさらに掘り下げてみよう。
まずは、液性免疫と細胞性免疫についてだ。
液性免疫
抗原を認識してB細胞が分化し抗体を生み出す。この抗体は対応する抗原と結合することで毒素やウイルスを中和することができる。このように抗体を介してはたらく免疫反応を
液性免疫
という。この液性免疫には補体も関与している。
細胞性免疫
T細胞はB細胞と違って抗体は産生せずに、細胞と細胞の接触を介して免疫反応を引き起こす。この免疫反応を
細胞性免疫
という。この細胞性免疫にはサイトカインが重要な役割を持つ。
メモ
T細胞は細胞同士の接触による細胞性免疫を起こし、サイトカインがキーとなる。
B細胞は抗体を産生する液性免疫を起こし、これに補体が関わってくる。
次からは、液性免疫・細胞性免疫のキーワードたちである、抗体・補体・サイトカインについてまとめていこう。
抗体=免疫グロブリン(Ig:immunoglobulin)
抗体のはたらき
対応する抗原と結合して、抗原の持つ毒素やウイルスの活性を失わせる力を持っている。これを中和という。つまり毒を中和するはたらきだ。
抗体は5つに分かれる。その特徴をまとめよう。
- IgG:免疫グロブリンG
血液中に存在する主な抗体 - IgM:免疫グロブリンA
感染初期に出現。高い補体活性能力を持つ。 - IgM:免疫グロブリンM
分泌液中に多く含まれる - IgD:免疫グロブリンD
上気道感染などの免疫に関わる - IgE:免疫グロブリンE
Ⅰ型アレルギー(花粉症・ハウスダスト・アナフィラキシーなど)との関連が強い
※アレルギーとは、本来自己を守るための免疫反応が強すぎてマイナスな影響を及ぼしている状態。
補体
補体:抗体のはたらきを補助する
👉抗体と結合することでより元気になり、抗原である細胞などを攻撃する
ポイント
特殊能力として、抗体が抗原と結合することでおこる機能を強化するはたらきもある。
サイトカイン
サイトカイン:炎症/免疫反応の際の細胞間の伝達物質の一部
👉主にリンパ球(Iymphocyte)の相互作用に関わるため、インターロイキン(IL:interleukin)とも言われる
ポイント
細胞性免疫が起こる時に細胞同士の情報伝達の役割をサイトカインが担っている。
感謝!
医療従事者やその施設を支える関係者、日常生活に必要なお店の方々、それを支える運動業の方々などに感謝の気持ちを持ち、自身の行動を見直しながら感染予防に努めていこう!
第1弾!・第2弾!・第3弾!・第4弾!はこちら!
ということで、5回に分けて行ってきた『感染症 ~対策のために~』ですが、ひとまず今回で一区切りとしたいと思います。今回は誰もが本来持っている免疫機能の紹介です。今回のように流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような新興感染症でも、もともとの免疫機能があることで症状を抑えられていくことも十分考えられるでしょう。
また、時間ができたら今度は今回のシリーズで紹介した免疫機能自体を高めるポイントについて紹介できたらと思います。
まずは、この感染症を乗り切って日常を取り戻せるように感謝の気持ちを忘れず生活をしていきましょう。