6月24日(水)~26日(金)の読売新聞の記事を参考にママアスリートについて3回に分けて紹介したい。今回は2回目だ。1回目の内容はこちら!
1991年の旧ソ連の選手
順天堂大学女性スポーツ研究センターの副センター長の鯉川なつえさん(47歳)の経験だ。彼女は大学1年生(1991年)に行われた国際千葉駅伝で2区を走り区間2位の走りを見せた。ゴール後に見た光景が今でも焼き付いているそうだ。
区間賞を取った旧ソ連の選手が草陰で授乳をしている
この光景を見て彼女は感じた。
何て強い女性なんだ!と衝撃的で、これが世界だと思った
この経験が、鯉川なつえさんのその後の人生に少なからず影響したことだろう。
それから約30年経ったが、女性の、ママアスリートを取りまく環境は日本ではどうなっているのだろうか??
現状はほとんど変わっていない
全く変わっていないわけではない。日本代表クラスになれば、多少の環境が準備され始めている。しかし、そうでないアスリートであれば結婚や出産ということになれば所属会社からは『引退』と言われることはざらでもなく、競技を一時的に中断する事すら難しいのだ。と鯉川さんは話している。
日本代表レベルでやっと下記のような環境が整備されてきた。
- ナショナルトレーニングセンター(NTC)
- 国立スポーツ科学センター(JISS)
練習する選手の子どもなどを預かる託児室を設置(両施設とも1993年)
しかし、上述したようにこれらの施設は代表レベルで無ければ使うことはできず、親族や友人などに頼らざるを得ない。前回のブログで上げた中山由起枝選手(クレー射撃)もそのような状況だった。そうなれば、自身でもろもろの費用も負担することになるだろう。子どもを預ける際にかかる費用やそもそもの産休・育休に関わる制度作りは競技団体・チーム・企業でもまだまだ進んでいない。
先を行くアメリカは?
下記のような支援があるようだ。
- 全米大学体育協会
妊娠・出産に関するガイドラインを作成し支援を広げている - バスケットボールの女子プロリーグと選手会
・産休中も給与を満額支払う
・年間約53万円の育児手当金を支払う
の労使協定を結ぶ
日本の環境が整備されない理由
女性コーチや女性役員が少ないため
だという。これにより女性選手が目の当たりにする課題が、全体に共有されることが少ないのだろう。そんな中で、日本でも少しずつ支援の動きが出ている。それは、やはり自身が苦労を経験しているママアスリートや女性アスリートたちの影響が大きいだろう。冒頭の鯉川さんもその1人である。
もしかしたら、支援制度が少しずつであるがあることを女性アスリート自身がまだまだ認識できていないということも考えられる。いろいろと調べてみたので下記をぜひとも参考にしてほしい。女性アスリートは出産・育児以外にも女性特有の問題が多いので中学生・高校生からは特に配慮が必要になってくる。
- ママアスリートネットワーク(MAN)
ママアスリートへインタビュー:こちらは第1弾で紹介した中山由起枝選手(クレー射撃)や吉田愛選手(セーリング)なども記載されています。 - 国立スポーツ科学センター(JISS)・MAN
女性アスリート支援プログラム - 日本パラリンピック委員会
JPC女性スポーツ委員会:こちらは第1弾で紹介した土田和歌子選手(車いす陸上)も委員のメンバーとなっています。 - 順天堂大学女性アスリート外来
- 東京大学女性アスリート外来
- 女性アスリート健康支援委員会
女性アスリートの健康保持や生涯をよりよく過ごせるためのサポート
何を隠そう、私も高校生の女子チームのサポートをしているため、妊娠・出産まではいかないが女性アスリート特有の問題にはアンテナを張っているつもりだ。選手たちの将来に関り、人生はスポーツをしていない時間が長いことも考えて指導に役立てていきたいと強く感じる。