私のサポートしているチームの1つに高校の女子ハンドボール部があるが、男性と女性は身体のつくりが解剖学的にも生理学的にも違う。私は男なので女性の身体に起こることは実感したことがない。
よって、サポートする際には女性の身体に起こる特徴的なことを理解する必要がある。
女性アスリートに起こりやすい問題点(3つ)
- 利用可能エネルギー不足
スポーツなどで体型のことを指摘されたり気にしたりして、過度な食事制限をすることで下記の2つを含め身体に悪い影響が出てくる - 骨粗鬆症
食事や女性ホルモンの影響、老化などにより骨が脆くなる - 月経障害
過度なトレーニングや食事制限、それによるホルモンバランスの乱れにより月経が適切な頻度で来なかったり、過度な生理痛が起こってしまう
いろいろ調べるとよくわかってくるが、この3つはお互いで影響し合っているため悪循環に陥ってしまうこともある。
スポーツで体型を気にして過度な食事制限をすることでエネルギー不足が起こる。その状態でスポーツをするのでエネルギーはたくさん消費していく。月経は体脂肪率や体重などにも影響されるため悪影響が出てくる。女性ホルモンのバランスが崩れたりエネルギーが不足すれば骨はもろくなっていってしまう・・・。
今回は、この中でも特にいろいろなスポーツで、しかも10代の選手からよく問題視される『月経障害』についてまとめてみたい。特に未成年に関わる指導者やトレーナー、選手自身にも見てもらいたいものだ。
月経は女性に起こる必要な生理学的現象
月経は生理とも言われたりするが、簡単に言うと『妊娠のための準備』ということになる。つまり子どもを妊娠・出産するための現象でもあるわけだ。
その月経が初めてくることを初経といったりもするが、その初経に必要な条件が下記の通りとなる。1つの目安としてもらえると良いかと思います。
月経に必要な身体条件(日本では)
- 体脂肪率
17%以上 - 体重
43kg以上 - 年齢
12~13歳ころ
※17歳までに98%の女性には起こる。ない場合は病院で診てもらうことも検討した方が良い。
月経がこないことを『無月経』というが、12~13歳ころに最初の月経がおとずれることが多いと言われており、スポーツをしている選手は少し遅れることもある。
また、月経は初めて来てから28日(約1か月)に1回のペースで来るものなので、スポーツを行っていると過度な運動量や食生活の影響で月経が来なくなることがある。特にこの状態が女性アスリートの問題として多く上がることが多い。
3カ月ほど来ないものは『続発性無月経』と言われ、起こるものが起こっていないわけだからこの状態があったら、運動量を落としたり、食生活を見直したり、病院へ行き相談したりすることが必要だ!
陸上・長距離の新谷仁美選手
12月4日に行われた第104回日本陸上競技選手権大会にて女子10000mに出場した新谷仁美選手。従来の記録を20秒ほど更新した日本新記録で東京オリンピックの代表権を取得した。
彼女は、11月22日に行われたクイーンズ駅伝2020でも主要区間の3区を走り、従来の区間記録を1分以上更新する走りを見せた・・・。すごすぎる!
そんな、新谷選手もどうやらかつて月経障害に苦しんでいたようである。新谷選手のツイッターでそのような発言がある。新谷選手は1度競技生活を引退し何年間か一般企業に勤めていたようだ。そこからカムバックを果たし今年はこのような目覚ましい活躍を見せているが、その引退の1つの要因に月経障害が関係していたようである。
女性アスリートや家族・周囲のスタッフの参考に・・・
今の時代、インターネットなどでいろいろ調べられるが、月経障害など女性アスリートに関わる問題に力を入れているものはあり参考になるものを紹介しておきたい。
相談に乗れそうな病院の情報や、女性アスリート専門外来まで今は存在しているのだ!
また、女性に関わる指導者などのためのセミナーなどもたくさん行われている。
- 一般社団法人 女性アスリート健康支援委員会
女性アスリートに関わる問題やスポーツだけでなく生涯の生活の質の向上のための団体 - 順天堂大学 女性スポーツ研究センター
女性アスリートの環境整備 - 東大病院 女性診療科・産科 女性アスリート外来
- 順天堂大学医学部附属 順天堂医院 女性アスリート外来
- 順天堂大学医学部附属 浦安病院 女性アスリート外来
特に指導をしている指導者やスタッフは、選手の将来も見据えたうえでの適切な指導を実施するために、自身を研鑽していく必要があるだろう。
私も女子選手に関わっているので、得た知識をサポートに活かしていきたい!